リターン・ロス・ブリッジが完成しました。
回路構成は「トロイダル・コア活用百科」に記載されている回路です。相違点は入力側の 10 dBパッド無し、出力側に強制バランを追加しました。この構成は「おじさん工房 BBS」で以前に話題になっていたものです。
出力側のフロート・バランと強制バランは、FB-801-43 に 8 回巻きです。
使用した抵抗は 1/4 Wカーボン抵抗 5 % 品です。高精度な抵抗ではないのでそのまま使用するとブリッジのバランスが悪くなってしまいます。そこで 2 段階の選別を行いました。
抵抗の選別方法
- 初めに 51 Ω 5 %品(約 90 本)の中から、50 Ωに できるだけ近いもの をデジタル・マルチメータで選別します。
- 次に、この抵抗を使ってリターン・ロス・ブリッジを組み立てます。
- 選別した抵抗を、組み立てたリターン・ロス・ブリッジを使って APB-1 のインピーダンス・アナライザで測定し、さらに 50 Ωに近いものを選別します。
- 最後に、組み立てたリターン・ロス・ブリッジの抵抗を、この選別品の抵抗と交換します。
抵抗値の精度については何とも言えませんが、この方法で少なくとも値の揃った抵抗を選び出せるはずです。この選別品を使えばバランスの良いブリッジが作れると思います。
完成したリターン・ロス・ブリッジと APB-1 は、このように接続します。
DUT オープンで正規化後、自作 50 Ωターミネータを接続してリターンロスを測定してみました。概ね 50 dB以上のリターンロスが取れているようです。5 MHz以下のリターン・ロスは 60 dB以上取れました。
内部の様子はこんな感じです。バランスが良くなるように対称配置にしました。
ショート・プラグと 50 Ωターミネータ、インピーダンス・アナライザ用の測定治具です。
ターミネータは同軸ケーブルの芯線部分に抵抗を仕込んで作りました。
APB-1のインピーダンス・アナライザ
リターン・ロス・ブリッジを APB-1 に接続することで、インピーダンス・アナライザ・モードが使用できるようになります。ショート・キャリブレーションの時は、こんなふうに測定治具にショートピンを挿入します。
選別した抵抗の一つを測定してみました。
なかなかいい感じです。
220 uHインダクタ(アキシャル・リード)のインピーダンス特性。測定治具にミノムシ・クリップを取り付けています。
インピーダンス測定結果
220 uHインダクタ(ラジアル・リード)のインピーダンス特性
インピーダンス測定結果
インダクタをインピーダンス・アナライザで測定すると、自己共振周波数が良くわかりますね。コイルを巻くときに活用できそうです。
3 件のコメント :
しんいちと申します。
最近ですがAPB-1を完成させました。
目的は、やはりVNAなのですが、ジグを作成するにあたり記事を拝見して、大変参考になりました。
しんいちさん、コメントありがとうございます。
この記事が、お役に立てたようで良かったです。 APB-1 の製作を楽しまれた後は、使う楽しみが待っていますよ。 是非、活用なさってください。
babooshkaさん
しんいちです。
ご返信ありがとうございます。
当初は、FPGAの書き込みのところで躓きました。
もしやと思い、パソコンをWinXPに変更して、
ドライバを入れて試したところ、1発で、FPGA左横のLEDが点滅をはじめました。6時間くらい無駄な時間を過ごしました。(笑)
やっと次のステップへ進める事ができました。
あとの半田付けは比較的難しく無く終える事ができました。
これからは、APB-1を活用して、理解を深めて行きたいと思います。
リターンロスブリッジの基板の製作をはじめました。
また出来ましたら、連絡いたします。
どうもありがとうございました。
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