2011年7月9日土曜日

AFF-E11ハイカットフィルタの効果

AFF-E11 AFハイカットフィルタです。

スイッチト・キャパシタ・フィルタを使った、周波数可変タイプのAFローパスフィルタで。 JA3DEW清水さんのWebサイト「自作を楽しもう」で公開されています。 プリント基板とIC(MAX7403CSA)を有償頒布されていて、私も数年前に頒布を受けて製作しました。

当初はIC-R75の音質を何とかしたいと思っていましたので、フィルタ上限を3kHz付近で製作していました。(上限の周波数は、C5,C6の定数で設定します。私はC5=3300pF,C6=330pFでした。)

先日のIC-R75の音質改善を期に、今回はフィルタ上限の周波数をもう少し広げてみることにしました。 手持ちのコンデンサの中から、いくつかの組み合わせを試してみたところ、C5=1000pF, C6=1000pFで下限周波数800Hzから 上限周波数5kHzに設定できました。

フィルタ周波数を決定しているIC LMC555CNの発振周波数を測定しながら、パネルに上限周波数の目盛りを付けています。

WaveSpectraで周波数特性を測定してみました。 赤色の線が「フィルタ オフ」(スルーでAFF-E11内部のオーディオアンプのみの特性です。)

青色の線が 「フィルタ オン」(上限周波数を3kHzに設定時の特性です。)

「フィルタ オン」で3kHz以上が綺麗にカットされているのが良くわかります。

IC-R75に接続した時の、受信音声をアップしましたので聞いてみてください。
受信局は 17790kHz BBC July 8,2011 1323UTC

  • 最初の部分は
    IC-R75 IF filter Wide ( 9M = 15kHz, 455k = 6kHz)
    AFF-E11 はスルー
  • 30秒付近から
    IC-R75 IF filter Wide ( 9M = 15kHz, 455k = 6kHz)
    AFF-E11 フィルタ上限周波数を 3kHzに設定
  • 58秒付近から
    IC-R75 IF filter Normal ( 9M = 15kHz, 455k = 3.3kHz)
    AFF-E11 はスルー

となっています。AFF-E11のフィルタの聞き具合がよくわかると思います。

強力に受信できる局では、IC-R75のIFフィルタをWIDEにして、AFF-E11で3kHzから5kHzの間を可変しながら、ちょうど良いポイントでを見つけて聴くのが良さそうです。 AFF-E11は頼もしいAFフィルタです、清水さんありがとうございます。

2011年7月2日土曜日

青木リストとオートフィルタの活用方法

青木リストには、とても多くの (7月1日のリストでは9653件) データが登録されています。 このデータの中から目的の放送局を探すために、Excelの画面を上下にスクロールしていては大変です。 そこで便利な機能がExcelオートフィルタです。

このExcelオートフィルタが使える状態になっているかは、周波数リストの項目名のセルに

が表示されていれば使用可能な状態です。

もしも、この表示が無い時には、次の手順で操作します。

  1. 項目名が書かれている行の左端の行番号をクリックして行全体を選択します。

    (下図では行番号5をクリックします。)

  2. メニューから「データ(D)」-「フィルタ(F)」-「オートフィルタ(F)」を選択します。

オートフィルタがオンになるとが表示されます。

それでは、オートフィルタを使ってみましょう。
例として、9750kHzで聞こえている放送局を調べたい場合を考えて見ます。

周波数で抽出するので、FREQをクリックし、表示される一覧から(オプション)を選択し、オートフィルタオプションのダイアログボックスを表示します。

抽出する周波数は 9750kHzなので、「抽出条件の指定:」下のFREQのリストボックスに9750を入力します。 今回は 9750だけを抽出するので、右側のリストボックスは「と等しい」のままにしておきます。 「OK」 ボタンをクリックすれば抽出が実行されます。

9750kHzだけが抽出されました。

オートフィルタで抽出条件が指定された項目のが青色に変わり、抽出された行の行番号も青色に変わります。

抽出した結果から、さらに放送時間や放送言語、放送内容から区別すれば放送局名の特定につながります。

ここで「BarGraphViewer」の「時間軸線 オン」を使えば。 現在時刻で放送中は「緑色」で、放送開始15分前は「黄色」で表示されます。 この表示は「BarGraphViewer」の「時間軸線 オフ」で消すことができます。

ここから更に絞り込んで、抽出する事も可能です。

例えば放送言語が日本語の場合は次のような手順です。
Language」のをクリックし、表示される一覧から (オプション)を選択。 オートフィルタオプションのダイアログボックスを表示。 「抽出条件の指定:」の 「Language」リストボックスにJapaneseと入力。  右側のリストボックスは「と等しい」を選択します。

(抽出条件の指定で「Ja」と入力し、 右側のリストボックスは「で始まる」でも可能です。)

データを絞り込んだ結果、”この放送局は「R.JAPAN」のようだ”という事がわかります。 同時刻に放送されている、他の放送局もあるため。 正確に調べたい場合には、放送内容や、局名アナウンスによって特定することが必要かもしれません。

オートフィルタの抽出を元に戻して全体を表示するには、青色に変わっているをクリックし、表示される一覧から(すべて)を選択します。

オートフィルタ自体を「オフ」にするには、メニューから「データ(D)」-「フィルタ(F)」-「オートフィルタ(F)」を選択します。


以上のような感じで、Excelのオートフィルタが活用できると思います。

ただし、「Excelオートフィルタ」 と 「BarGraphViewer」 を組み合わせた使用方法では、注意しなければならない所があります。
詳細は、 バーグラフとオートフィルタの注意点 を参照してください。


追記 Jun 11, 2015
最新版で、この問題は修正されています。バーグラフを再描画することなくオートフィルタを使用できるようになりました。

2011年6月30日木曜日

IC-R75音質改善後の受信音

先日実施した IC-R75の音質改善後の受信音声です。


R.JAPAN 9695kHz June 30,2011 1228UTC 2128JST
IC-R75 IF Filter WIDE = [9M 15kHz,  455k 6kHz]

改造前の状態なら、受信音がバリバリ割れている信号レベルですが。 改造後は強力な局でも、聞きやすい音質になりました。

2011年6月25日土曜日

IC-R75の音質改善

IC-R75

IC-R75は全体としては良い受信機なのですが、IF以降のオーディオ周辺の問題を抱えているようです。たとえば、強力な信号を受信した時の音は割れるような歪んだ音になってしまい、とても残念な気持になります。そこで今回、音質改善のための改造を行うことにしました。

この改造内容については、藤原さんのWebサイト The Art of Analog Circuits 「ICOM IC-R75 改造記」を参考に行いました。

今回の改造箇所

改造箇所は「ICOM IC-R75改造記」の記事に書かれている内容から以下の3点について行いました。

  • 「1.2 低周波フィルタ」のフィルタ特性の変更のためコンデンサ交換

  • 「9. 強信号での音の歪み」の改善。抵抗追加によるゲイン調整

  • 「10. 低周波フィルタの設計間違い」の改善策 Case-4

画像のクリックで拡大します

上の画像は改造箇所の周辺です。今回の改造では手持ちの部品を活用したので、1/4W抵抗も大小のサイズが混載しています。例えば 39 kΩは、33 kΩと 6.2 kΩをシリーズに組み合わせて実装しました。さらに 820 pFは、330 pFと 470 pFをパラにして 800 pFとして使っています。

また、この改造はチップ部品相手の作業となります。そのため、手持ちのディスクリート部品を活用しようとせずに、素直に 1608 サイズのチップ抵抗を買ってから作業するべきだったと、作業の途中で思い直すことしきりでした。

さらに、作業対象が小さく込み入った部分なので、ここでは拡大鏡なしでは作業できませんでした。特にコンデンサ交換の箇所は作業スペースが狭いので慎重に作業する必要があります。

作業終了後に半田づけの最終確認をして電源 ON 、下の画像は「Radio JAPAN」を受信中の様子です。

この改造で強力な受信レベルの信号も、音が割れることなく聴きやすくなりました。貴重な情報を公開してくださった藤原さんに感謝します。ありがとうございます。

(20110704追記)

受信音をアップしました。 IC-R75音質改善後の受信音



ご注意!

改造すると保証が効かなくなります。また、改造に失敗すると修理のための費用が必要になりますので十分に注意してください。



2011年5月20日金曜日

Excelバージョンによる オートフィルタのリスト件数の違い

先日、Excelオートフィルタを使っている時に気が付いたのですが。オートフィルタのドロップダウンリストに表示される件数に、制限があるようなので調べてみました。

下図のFREQ列で、オートフィルタのドロップダウンリストを表示すると15,670kHzまでしか表示されていません。リスト自体は9,726行目の26,060kHzまでデータがあります。

オートフィルタのオプションを開きます。

ここでフィルタ条件を 20,000kHz以上 30,000kHz以下 に設定すると、条件どおりにフィルタされ、データの最終部分が表示されていることが確認できます。

調べてみると、このオートフィルタのドロップダウンリストで表示可能なデータ数は、Excel の各バージョンによって違いがあるそうです。

オートフィルタのドロップダウンリストに表示可能なデータ数 によると。

Excel5.0, Excel95では
リストの入力データのうち、重複しないものが250件目までが表示されます。

Excel97 / 2000 / 2002 では
リストの入力データのうち、重複しないものが1,000件目までが表示されます。

Excel2003で確認したところ1,000件目まででした。



Excel2007からは10,000件までになったそうなので、Excel2010評価版で確認してみました。
初めにデータを10,010行目まで作成します。

次にオートフィルタを1行目にセットし、ドロップダウンリストを開くと 2行目から10,001行目までのデータが10,000件表示されています。

「一部のアイテムは表示されていません」をクリックしてみると。

やはり10,000件までのようですね。

では青木リストではどうでしょう。

ドロップダウンリストには、データの最終行まで表示されていますね。

Excelも外観の見た目だけではなく、バージョンアップごとに細かい部分で機能が拡張されているのですね。

2011年5月3日火曜日

iPod nano用充電器

最近のポータブル・オーディオは小型で軽く、とても便利で使い易くなりました。電源も乾電池からリチウムイオン電池などの充電池を本体に内蔵するタイプに変わり、内蔵バッテリーの専用充電器なども必要とせず USB で充電するものが多くなりました。

そんな訳で PC を使っていない時に電池切れになってしまうと、充電のためだけに PC の電源を入れるような事になってしまいます。これでは電池の充電のために無駄に電気を使っているような感じがして、いつも「もったいないなあ」と思いながら充電していました。

そこで

使わなくなったUSB1.1ハブを改造してiPod用充電器を作ってみました。

今回の改造に使った USB ハブは ELECOM UH-G4SCR。これは、子供の頃に出会った「もったいないお化け」のお告げによって、捨てられずに JUNK 箱に入れておいた物の再利用です。

さっそく分解して基板を見ると USB コントローラ TUSB2046BUSB パワースイッチ AIC1527-0 が実装されていました。AIC1527-0 のデータシートを見ると、CTL 端子によって各ポート出力をオン・オフしていることがわかりました。

USB ダウンストリームポートに 5 Vを出すには、この CTL 入力を low レベルにすると出力がオンになるようです。このパワースイッチをそのまま使えば、USB ポートの出力保護機能を使えると思います。

次に、iPod の充電方法について調べるといくつかの方法があることが分かりました。今回はメーカー製の Dock に「使われているらしい」方法を試してみる事にしました。

その方法では、USB のD+に 2.0 V、D-に 2.7 Vを加えることで iPod が充電モードになるようです。



改造箇所

改造部分の回路を以下に示します。

この改造ではJACK0の空きパターンが USB ダウンストリームポート 1 と並列につながっているので、これを利用して配線しました。

表パターン面はD+,D-のプルアップ側の配線と、パワースイッチ入力CTLA ~ CTLDの GND への配線を行います。この配線では 0.26 UEW を使用しました。

裏パターン面はD+,D-のプルダウン側の配線とパターンカット、「USB コントローラ」と「パワースイッチ」間のCTLA ~ CTLDのパターンカットを行います。


USB ハブのアップストリームポートのコネクタは取り外しました。

アップストリームポートのD+,D-を短絡しているのはハブの電源ランプを点灯させるためです。改造当初はこの部分の短絡によって、ダウンストリームポートに 5 Vが出力されるのを期待したのですが、結果はダメでした。

右側の「ダウンストリームポート 1」が、iPod充電用の出力です。

実際に iPod を接続すると、接続後 1 分くらいで充電モードに入ります。


ご注意

iPod に自作の充電器を接続したことによって iPod の故障や火災等の問題が起こるかもしれません。試される場合は十分に注意してください。